拝啓、保護猫のハナ殿
ある日どこからともなく突然夫の畑に来た、野良猫のはなちゃん。
忘れもしない2022年、2月22日。
仕事から帰宅途中の夫から一本の電話
「あかん、帰られへん」
「何?事故?」と思いきや、夫が帰ろうと車に乗ったら、いつも来ている野良猫が一緒に乗り込もうとする。
「あかんあかん」と押し戻したら、今度はボンネットに寝転がる。

降ろしたら「連れて帰らないなら、ひいて帰れ」とばかりに、車の前に寝転がる。
抱き上げたら「ニャー」と、か細い声を出して、両手で夫の顔を包み込んでくるという。
「どうしよう」の言葉に「あかんって!私、動物飼ったことないし、苦手やし」
そんな言葉むなしく翌日彼女はやってきた。
力ずつで我が家に来たことを申し訳なく思っているのか、一日の大半を夫の部屋の本棚の下でひっそりと過ごすはなちゃん。
私だけがリビングにいると、遠回りしてリビングをなるべく通らないようにしてトイレに向かう。
そうしてお互いを気遣い、少しずつ距離が縮まり、はなちゃん自身も抱っこされたり、膝に乗ったりするのが苦手なタイプのようで
程よい距離感を保った日々が過ぎていった。
そして私の中で少しずつ変化が。
三か月後、親戚が飼っている犬を無心でなでている私を見て親が驚愕。
五か月後、動物園に行くとすべての動物がはなちゃんに見える化現象が起きる。
半年後、夏のある日職場にゴキブリ出現。
「ギャー!」といつもは猛ダッシュで逃げる私が「あっ!」と思ったまま、凝視。
動く触覚を見ていたら「ああ、この子もはなちゃんのように一生懸命に生きているんだな」となんとなく慈しみの感情で心が満たされる自分に気づく。
猫を飼うことでまさか、虫への恐怖心も緩和させてくれるとは。
44年生きていて、初めて生き物への(私も生き物だけど)免疫がついたのだ。
はなちゃん、あなたが我が家に来て以来、私の中で大きな変化が起きている。
保護猫を保護して保護されたのは、私の方だった。
きっと自分では選択しなかった人生、知らなかったであろう日々。
はなちゃん、あなたの強引さは私の喜びも連れてきてくれました。
これからも、長生きしていつまでものんびりと我が家で過ごしてください。
追伸:焼魚を焼くときはもう少し静かにね。


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